自然薯とは

自然薯とは...

自然薯は非常に粘りが強く、ヤマノイモ類の中でも伊勢イモや丹波ツクネイモなどの球形のイモよりも強い粘りがあります。スーパーなどでよく見かけるナガイモやヤマトイモは、すり下ろしたとたんに流れてしまいますが、自然薯はすり下ろすと団子状になり、箸でつまみ上げられるほどの粘りがあります。その粘りはナガイモのおよそ5倍とも言われています。

また、自然薯には独特の土の香りと甘い香りがあり、炊きたての麦飯にすったばかりのとろろ汁をかけたときの何とも言えない風味が食欲をかき立てます。自然薯の調理方法と言えば、このとろろ飯が一般的ですが、他にもさまざまな調理法があり、磯部揚げ、蒲焼き、すまし汁などは代表的な食べ方とされています。

秋になると葉腋にたくさん着生するムカゴも食べることができ、ご飯と一緒に炊き込んでムカゴご飯にするととろろ飯とはまた違った風味を楽しむことができます。他にもムカゴをさっと塩ゆでしたり、天ぷらにしてもムカゴ自体の味を堪能することができます。このように自然薯は食べるところにムダがなく収穫したイモからムカゴまで余すところがありません。

自然薯は植物分類上どのように分類されるのか。ヤマイモと一緒?ヤマノイモとは何なのか?いろいろと混乱が起こっています。まず、一般的にナガイモ、イチョウイモ、イセイモ、ジネンジョなどをすべて「ヤマイモ」「ヤマノイモ」と呼びます。しかし、ヤマノイモは植物学的には山野に自生しているものをさすことが多く、自然薯のことをヤマノイモと呼ぶような風習がでてきてしまいました。そのため、呼称の混乱を避けるためにもジネンジョはヤマノイモではなく(ナガイモも含まれてしまうため)自然薯と呼ぶようにしたいものです。

ちなみに、ジネンジョ、ヤマイモはヤマノイモ種で、ナガイモ、ヤマトイモ、イセイモ、丹波ツクネイモはナガイモ種です。また、ナガイモ類と自然薯には染色体の数が異なるという大きな違いがあり、ナガイモ類の染色体数は140、自然薯は40で「種」が異なります。